私は、真面目に答えた。

それが、まずかったのかもしれない。

「みんなと行ってなくても、お気に入り君とは行ってるんじゃない?」

急に、低い声になった中原さんに、私は睨みを利かす。

「だから言ってるでしょう。行った事はないって。」

「やだぁ。怖いなー、清水さん。」

指で肩を突かれ、少しだけイラっとした。


「そうよねぇ。まさかねぇ。」

「何?」

中原さんは、白い目で私を見てきた。

「新人の子に、手を出さないわよねぇ。何て言ったって、清水さんは研修担当だもんね。」

ふふふと笑っていたけれど、その目は笑っていなかった。


「中原さん。恋愛に興味があるのはいい事だけど、同じくらい仕事の事も考えてね。」