私は自分の席に座ると、資料を捲り始めた。

最後の2ページだけ、汗で端が波打っている。


誰かに、あんなにときめいたのは、何年振りだろう。

ましてや、大人になってから、ときめく事があるだんなんて。

私は、想像していなかった。


そう言えば、彼の声。

とても、素敵だったな。

門馬君の声を思い出すだけで、私の胸は又ドキドキを繰り返す。


「はぁー。」


やはり、好きなんだろうか。

3つ年下の、彼に。


「ねえ、亘理君は今、彼女いる?」

「えっ?……いるけど、どうして?」

私は頬杖をついた。

「その彼女の事を思うと、ドキドキする?」

「はあ?」

当たり前の質問に、返って来た返事は、亘理君の歪んだ顔で分かった。