私は、手の平に汗をかいていた。

資料が、汗で歪んでいる。

落ち着いて。

別に彼に嫌がられている訳じゃあ、ないんだから。


「……では、次のページ。」

私がそう言うと、門馬君の隣の席の子が、立ち上がって資料を読み始めた。

しっかりしないと。

そして、私が次のページを捲った時だった。

ページとページの狭間から、一人の男の子の顔を見えた。

門馬君だ。

門馬君が、こっちを見ている。

体中が、ドキドキする。


落ち着け、落ち着け。

研修中は、私が学校で言う教師みたいなものなんだから、生徒に見られて当然なんだから。

何度も何度も自分に言い聞かせた。


「はい、ありがとう。」