ミーティング室のドアを開け、今度は新人の目が、私に注がれた。

でも突き刺さるような視線ではない。

それだけでも、心は軽くなった。


「おはようございます。」

私が挨拶をすると、新人さん達も小さな声で、挨拶をする。

「今日の資料を、配りますね。」

そう言って、皆の顔を見ているはずなのに、自然に門馬君に目線が行く。

ダメな先輩だ。

一人だけ、特別扱いするだなんて。


みんなが資料を手に取ると、大体の人が表紙を軽く見て、次のページを捲っている。

今日の彼は?

そっと、門馬君を見た。

今日も、表紙をジーッとみている。

他愛のない表紙なのに。


「それではまず今日は、企画から商品ができるまでの段階を、学びましょう。」