「オヤスミナサ~イ……だってさぁ~」

ダッシュボードに投げたした高本のブーツが、ニヤついている……。


あきれた森下が、少し乱暴にアクセルを踏み込むと、細身のフロントタイヤが キュッ……と音をたてた。

「オマエの好きそうな女だ……」
そう言うと、車体を センターに流しながら 森下は、もう一度、吐き捨てるように つぶやいた……。


「おやすみなさい……って…… もう朝だぜっ」


「夢、見る時間なんて、
ある訳、ないだろうっ」