ビーフシチューに始まり、
わたしのレパートリーは和洋折衷、

言ってしまえば、なんでも作れるようになった。




いつも、注文をするのは
誠司さん。

大体、お仕事を根詰めて仕上げた
深夜や、お昼過ぎくらいに、

ふらっとリビングに現れて、

コロッケが食べたい、とか
トンカツが食べたい、とか
カレーが食べたい、とか

いつも基本の家庭料理ばかり。

それは、工夫によってはいくらでも
わたし寄りにアレンジが効いて、

わたしは密かにレシピ本を裏切るという
優越感を覚え始めた。