「ゆっちゃーーーーん!」




ゆっくりと、
雪子が振り返る。




「遅いよ、茶織」



わかってる。


この坂は、本当に急斜面で、
もともと膨よかなわたしには、少々キツい。




そのわたしの

ふくよか、を

いつもゆっちゃんは羨む。




「今日も茶織の当番じゃん!あたし、今日は春雨スープと餃子がいいんだけど」


「今日も、今日も、って、結局八割型はわたしが炊事当番じゃない?」


「だーって一番おいしいんだもん。あたしは今日も洗濯でいーの」





いつものように、
城見坂(しろみざか)のてっぺんの、

わたしたちの共同ハウス、
今流行りの、シェアハウスへと向かう。