あっという間に時間は過ぎて、お開きの時間になった。

この短い時間の中で、わたしの夢はシンガーソングライターに変わっていた。

もう全く分かりやすい奴だと、そう自分でも思う。

「今日の支払いは俺がするよ。出世払いで返せよ」

なんて彼は、嫌味ったらしく言う。

わたしはそれに、

「よーし、ちゃ〜んとその時まで待っててよ!」

って返した。



シンガーソングライターって、どんなに楽しい仕事なのだろうか。

自分の書きたい歌詞を書いて、歌って…。

そんな事を仕事にしたい。

そうしたら、きっとこのお金も返すからさ。



1歩外へ出ると、ビュウっと夜の風が吹いた。

「じゃあ、気をつけて。また月曜日に」

「ああ。千歳も気をつけて帰れよ」

自転車に跨って、満点の星空の下、わたしは走った。

ひときわ大きな明るい星が、チカチカっと瞬いた。