君と奏でる、永遠のメロディー

健一くんが転入してきて、3日が過ぎた。

わたしは今日も、合唱部の朝練へ向かった。



「今日も頑張りましょう!」

みさき先輩が指示を出して、合わせ練習が始まった。

数日前に『声を小さくしろ』と言われたにもかかわらず、わたしはつい、大きな声で歌ってしまう。

その度に、先輩に注意された。




伴奏が始まり、Aメロ、Bメロと曲は進んでいく。

そしてサビに入った時、わたしはまたやってしまった。

「ストーップ!」

みさき先輩が演奏を止める。

「千歳!今日も“声”、大きいよ!!一体何度言ったらわかるの!!!」

この日の彼女はいつもと違っていた。

「…すみません」

「あのね、私だって、こんなに怒りたくない。でも、千歳の声はこの合唱を壊しているの!だから…、夏のコンクールが終わるまで、もう歌わないで」

「えっ…」

彼女の言葉に、他の部員も呆然としている。

「今日は、廊下で終わるまで待ってて」

諭すような、穏やかな口調だけれど、先輩の目は、有無を言わせぬ迫力があった。




「分かりました」

しばらくして、わたしは乾いた口を動かした。

先輩と、他の6人の部員を残して、音楽室を出た。