吐露するキズ跡



ずっしり落ち込んだまま、寡黙にお仕事をしていると、

「どした?元気ないね」

先輩に言われた。

先輩は、パートナーと結婚式を挙げた後も、普通に会社に来ることになっている。

なのに、自分のパートナーが女だってことを、周りにも会社にもしっかり公表してしまった。

そんなことしたら、生きづらいだろうなって思うのに、

本当に、強いなって思う。

そして今、寡黙なのも、朝から元気があるわけじゃないのも、いつも通りなあたしなのに、落ち込んでいることを
キッチリ見抜いてしまってる。

「…バレましたか」

「彼氏と喧嘩でもした?」

「いませんね、残念ながら」

「…そうなんだ」

「って、知ってるでしょう。そんなもん、いたことないですっ」

「…そうだわね。あなたの趣味が長年分からなかったもの」

「…わかったんですか?」