「…ごめん。大丈夫。…さすがに、ああいうのは、見えたくなかったな」

あたしはつぶやく。

羽の中にいた、もう一つの魂の主の『サヤト』があたしに、こういうものが見える能力を植え付けた。

でも、サヤトがいなくなっても、これだけはあたしの中に残されてたんだ。

今、初めて気が付いた。

それも、今まで見えてたような、綺麗な感じじゃなかったぞ。

「顔色悪いよ」

「…ごめん。まだ、見えるみたい」


「…羽根、とか?」

頷く。

そんなかわいいもんじゃなかったけど。

さすがに、一瞬意識を失った自分を擁護したい。

あんなの急に見せられて、倒れなかったんだから、あたしはエラいと思う。

「羽ちゃん、聞いて、あなた、今凄く、凄く、危うい精神状態だから、

自覚して。

あと、ちょっと自分をいたわってあげて。

もうちょっと、自分自身を癒してあげて欲しい」