「…そうか、こういう気分の時に、傷口が出現するんだな」

あたしは、力の抜けた羽の腕を抜けて、でも、両手で傷を押さえた。

「ごめんごめんごめん。傷口、開かないで」

「…無理かな…」

その通り、傷はますます開いて、たらりと血を垂らす。

「ツカサが拒否ると、ダメらしい」

「拒否ってない、拒否ってない。何で?」

「…やっぱり、サヤトのことだけが好きだったんだ?」

「違うから…」

違うけど、違うけど…

どうしたらいいんだろう、トウゴさん助けて

「…あのさ、せっかくだから、楽しく食べようよ。飲めるんなら、追加のお酒買ってくるし」

羽はにって笑う。