羽に飲ませたくない。

でも、羽の飲んだ缶に口をつけるのに躊躇してたとこ。

記憶の中の映像。なのに、映像は終わらずに、そのまま、真っすぐにあたしを見る。

裏切るな。

これは、あたしの心の声なんだと思う。

トウゴさんは、そんなこと、思わない。

カツンと缶がぶつけられて、ハッとする。


「どうしたの?ぼーっとしてる。せっかく憧れの『飲み会』なのに」

「そうなんだ…ごめん」

羽は、本当に嬉しそうだ。

来て良かった。

「…疲れてるよね」

「大丈夫、飲むっ」

つい、先に、アルコールを胃に流し込んでしまう。

これでは、胃に悪いし、アルコールが回ってしまう。

「先に、何か食べたほうがいいんだよ。じゃないと、酔っぱらっちゃう」

お酒に関しては先輩なので、教えてあげる。

「そうなんだ」

と、買ってきたものを、美味しそうに食べてくれる。