吐露するキズ跡

よかった。

何より、羽の態度が嬉しい。

「ありがとう。羽ちゃん、大好き」

「本っ当、ツカサはお口が軽いよな。本気にするから、そういうことぺろっと言わないの」

「え?何?大好き?だって、羽ちゃん大好きだよ。なんていいヒトなんだ。本当にありがとう。偏見もなくて嬉し
い」

心の底からそう思う。

心のカギをガッチガチに閉めてたって、いいヒトで大好きなのは仕方がない。

羽は、なんか抗議したそうだったけど、ちょっと息を吐いて、多分、別の言葉を吐く。

「…仲のいい先輩なんだね」

「うん。良かった。今の会社に行って。先輩がいてくれて」

「そうか…だから快適すぎて、のうのうと独女なんだもんね」

「それはいいの。今は羽ちゃんもいるし…トウゴさんもいるし。寂しくないからね」

じゃあ、今までは寂しかったのかっていうと、全然そんなことはない。

それなりに楽しかった。

でも、今、羽ちゃんの存在を取り上げられてしまったら、死ぬほど寂しいと思う。

「あとね、ほかの楽器の人も、出来れば紹介してほしいんだけど」

「いいよ。声かけてみる。何の楽器?」

「ギターと、ドラムと、ピアノ」