先輩は、パートナーの人と、
結婚式を挙げる。
「その結婚式でね、バンド演奏を頼みたいらしいんだ。コンサルタントの人に紹介してもらえば、依頼するのは簡
単なんだけど、できれば知ってる人がいいからって。先輩も、直接知り合いがいるわけじゃないから、あたしに、
誰か楽器できる子知らないかって訊かれて」
「で、オレなの?…オレでいいの?」
「ベースのヒトなら心当たりあるって言ってしまって。…あたしも、羽ちゃんが演奏してるとこ、観たいし」
ついニヤける。
それをまともに見られて、羽が、からかいたそうな表情になる。
ここは、喋らせないで先制攻撃したほうがいいな。

