吐露するキズ跡

「オレにまで?」

目を上げると、羽と目が合った。

「オレだから、だとは思わないんだ」

「…思わなかった」

何だろう、この拒絶。頭にくるなあ。

「いいよ。羽ちゃんが救い出しくれるまで、ずっと独り暮らししててやるから」

半分以上冗談だけど、何か、自分の言葉にドキッとした。

ズキッ、かな。

一瞬、想像してしまった。

ここを、羽が出ていくとしたら、トウゴはどうなるんだろうって。

一緒にいられることさえ奪われちゃうわけだ。

…絶対に、そうさせる原因は作れないじゃん。

あたしが羽に相手にされるかどうかは別にして。

意識を戻すと、

ちょっとだけ、真に受けてくれたっぽい表情の羽がいる。

でも、あたしはここで、自分の心にガッチガチに鍵をかける。

「今日は羽ちゃんにお願いがあって、来させてもらったんだ」

「傷を癒してくれに、じゃないんだ」