吐露するキズ跡



あたしは、羽が家に帰っているのを確認して、マンションに寄り道した。

カチンって内側から鍵の開く音がして、

うっすらドアが開けられる。

「お帰り、ツカサ」

優しい口調の羽の声と、可愛い姿が出迎えてくれる。

今は、傷口は見えなくて、

その代わり、ものすごく優しい雰囲気で満たされている、羽がいる。

何だろう。

あたしじゃなくても、これはヤられちゃう感じ。

「え?どうしたの?」

「おっ、お帰りって言うから、なんか、可愛い奥さんに出迎えられてるような気分になっちゃって」

はいはい。

って受け流されるかと思ったのに、

羽はその、ふーんわりした雰囲気をまとったまま、さらににっこり笑って、

「お疲れ様」

少し高めの声で言う。