意地でも翡翠の方は見ない。
途端に翡翠は体から血の気が引く感覚がした。
自分がやってしまった事と、藍子が泣いている現状に、一気に怒りが鎮まった。
どうして俺が――と不条理を覚えつつも、自然と罪悪感が湧き上がってくる。
確かに藍子がした事は悪い事だし許し難い事だけど、何もソファを蹴っ飛ばす事はなかったんじゃないかと反省し始める。
――が。
翡翠も藍子同様に、頑固な部分がある。
むしろ藍子の頑固さは、翡翠から伝染したものかもしれない。
それに翡翠には意地もある。
随分と折れてやっただけに、もう折れる訳にはいかない。
絶対権力者としての尊厳を守る為にも、ここで藍子を甘やかせる訳にはいかないと、
「勝手に泣いてろ! もうお前なんか知らねえ!」
翡翠は藍子に背を向けてリビングを出て行き、そのまま服を着替え、仕事に出掛けた。
その日、翡翠は仕事場の【Kingdom】でいくら飲んでも酔えなかった。
途端に翡翠は体から血の気が引く感覚がした。
自分がやってしまった事と、藍子が泣いている現状に、一気に怒りが鎮まった。
どうして俺が――と不条理を覚えつつも、自然と罪悪感が湧き上がってくる。
確かに藍子がした事は悪い事だし許し難い事だけど、何もソファを蹴っ飛ばす事はなかったんじゃないかと反省し始める。
――が。
翡翠も藍子同様に、頑固な部分がある。
むしろ藍子の頑固さは、翡翠から伝染したものかもしれない。
それに翡翠には意地もある。
随分と折れてやっただけに、もう折れる訳にはいかない。
絶対権力者としての尊厳を守る為にも、ここで藍子を甘やかせる訳にはいかないと、
「勝手に泣いてろ! もうお前なんか知らねえ!」
翡翠は藍子に背を向けてリビングを出て行き、そのまま服を着替え、仕事に出掛けた。
その日、翡翠は仕事場の【Kingdom】でいくら飲んでも酔えなかった。

