「あっ!」

藍子の驚きの言葉に混じって、ゴトンと何かが床に落ちた音がした。


「ああああああ!」

続け様に藍子が出した声は悲愴感を含んでいる。


嫌な予感と共に、藍子が見ている先に視線を向けた琢は、


「あああああああ!」

藍子と同じような声を出す羽目になった。


床には、ムースの類と一緒にチェストの上に置かれていた香水のボトルが転がっている。


転がっているだけなら拾えば済む話だったのだが、ちゃんと閉まってなかったらしい蓋が外れ、ボトルからダラダラと香水が流れ出ている。


そうこうしている内に、香水の匂いが琢の鼻に届き、強烈な匂いに琢は思わず鼻を押さえた。


「大変だ!」

ここでようやく藍子が動き出したが、既に香水は殆ど床に零れてしまっている。


「大変だ!」

釣られて琢も押さえていた鼻から手を離してボトルを拾おうとしたが、もう手遅れ。


――それどころか。