不意に、少しだけ開いた唇の隙間から舌を覗かせた翡翠が藍子に顔を近付ける。


教え込まれた藍子の体は反射的に反応し、唇をほんの少し開いて翡翠の唇を受け止めた直後に肉厚な舌を受け入れた。


藍子の口内を優しく刺激していく舌の動きと同じように体に触れる翡翠の手が、藍子の体温を上げていく。


ただ上昇するのは藍子の体温だけではない。


クーラーの利いた部屋なのにも拘《かか》わらず、翡翠は全身に薄っすらと汗を掻き始め、床に仰向けになった藍子を組み敷いた時には自分の吐き出す息の熱さを感じていた。


「背中、痛くねえか?」

「痛くないけど、制服が皺になるよ……」

藍子を見下ろし問い掛ける翡翠に、藍子は少し不貞腐れたように言葉を紡ぐ。


シャツのボタンは全て外され、スカートはたくし上げられている制服は、藍子の体から脱がされてはいない。


「着替える手間省いてやったつもりだったんだけどなあ」

「これじゃ新しいのに着替えなきゃだよ」

「今更脱がしても同じだな」

「皺になってる?」

「なってる」

「えー」

「諦めろ」