「ボタン、掛け間違ってんぞ」
幼稚園の制服に着替え始めた琢を、ドア付近で見ている翡翠は、半分笑った声を出し、
「えー?」
「ほら、1個ずつズレてんだろ」
今掛けたばかりのボタンを見つめる琢の首元を指差した。
「ズレてないよ」
「ズレてんだよ。首んとこおかしいだろ」
「どこ?」
「下から留めるからおかしくなんだろ? 上から留めろっていつも言ってんだろうに」
「えー? どこおかしい?」
「あー、もうやってやるからこっち来い」
「あい」
「来年小学校なのにボタンも留められねえのかあ?」
「出来るもん」
「出来てねえじゃねぇかよ。――よし、終わり」
「ありがと」
「後はひとりで出来るな?」
「うん」
「ズボンのジッパー、ちゃんと閉めろよ?」
「いつも閉めてるよ!」
「この間、全開になってたじゃねえか」
そう言って、ゲラゲラと笑いながら部屋を出ていく翡翠の足が向かう先はもう一つの「意図」する場所。
幼稚園の制服に着替え始めた琢を、ドア付近で見ている翡翠は、半分笑った声を出し、
「えー?」
「ほら、1個ずつズレてんだろ」
今掛けたばかりのボタンを見つめる琢の首元を指差した。
「ズレてないよ」
「ズレてんだよ。首んとこおかしいだろ」
「どこ?」
「下から留めるからおかしくなんだろ? 上から留めろっていつも言ってんだろうに」
「えー? どこおかしい?」
「あー、もうやってやるからこっち来い」
「あい」
「来年小学校なのにボタンも留められねえのかあ?」
「出来るもん」
「出来てねえじゃねぇかよ。――よし、終わり」
「ありがと」
「後はひとりで出来るな?」
「うん」
「ズボンのジッパー、ちゃんと閉めろよ?」
「いつも閉めてるよ!」
「この間、全開になってたじゃねえか」
そう言って、ゲラゲラと笑いながら部屋を出ていく翡翠の足が向かう先はもう一つの「意図」する場所。

