突然の問い掛けに、体がぴしりと固まる。

「なんかこの前も古都里さんと目が合った気がする!」

にこにこと満面の笑みで言う。

そりゃあなたがいればみんな目で追うでしょう...?!?!

「そ、そうですっけ...?」

か細い声で答える。

「まぁなんでもいいけど、古都里さん危なっかしいからちゃんと前見てなよ〜」

そうかるーく言うと、手をひらひらと振りながら廊下を去っていった。



どく、どく、どく、どく。
心臓が大きく震え始める。

変な人だと思われたかな...。

そんなことを考えていると、チャイムが鳴った。


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私ってそんなに目で追いかけてたのかな?

さっきの木津音くんの言葉が気になって、測定に集中出来ない。

「次は身長ですー!!」

保健委員が叫ぶ。

すると、

「あれ、古都里さんだ。」

さっきの嫌な思い出がぶわっと帰ってくる。

「き、木津音くん.....」

振り返ると、身長測定器の横に立った木津音くんが私を覗き込んでいた。

「あ、俺ね。保健委員なんだよ」

ふふっ、とつり目が優しくなる。

「古都里!」

と叫ばれて、順番が回ってきたので身長を測る。


...木津音くんの手によって。


「んー...と、148cmだね。」

木津音くんが淡々と喋る。

1センチも変わってない、か。

少し落ち込んでいると、測定係を終えた木津音くんが私の頭にぽふっ、と手を乗せた。

「古都里さんかわいいねぇ。名前の通りだ。」

そう言いながら、自分と私の身長を手で比べている。

「俺なんて182cmあるからさ!」

と自慢げにいう。

かっこいいな…。

そうポツリ、と思った。

「木津音くんは凄いですね。私もそんな世界見てみたいです。」
「抱っこしたげようか?」
「遠慮します!!!!!」

冗談でもドキドキするようなことを平気で言うので間に受けて全力で抵抗する。


「まぁまた話してよ」

そう私の頭を撫でると、男子更衣室へ戻って言った。


「...私、木津音くんが好きなのか.......」

そう無意識に口からこぼれた。