「………準備はどうだ?」
「…もう終わっている」
渡辺先輩が少し遅れて返事をした。
「ならいい。行くぞ」
和海が生徒会室の扉を開けた。
私も急いで和海についていく。私の後ろには親衛隊の方々がいる。
「有紀様、顔が赤いです大丈夫ですか?」
いつも通りの声で親衛隊の方が話しかけてくれた。
「あ、は、はい。大丈夫です」
私はカクカク頷いた。
「私達はいつも有紀様の神々しいお姿が拝見させて頂いています。ですが、他の方は有紀様の美しさに戸惑っているのです」
「…そうですか」
そんな解説は求めてないです。
「有紀様、本日は精一杯お手伝いさせていただきます」
ふと、覚悟のようなそれでいて寂しさのある顔が見えた。
この人達にとっては今日で私との時間が終わってしまう寂しさがあるのか。私は散々こき使ったが、この人達にとったらいい関係だったのかもしれない。
「ありがとう」
自然に感謝の言葉が出た。
「ゆ、有紀様……」
「え?ちょ、ちょっと、泣かないで」
5人は涙ぐんでいた。
「もしかして、私の人使いの荒さに耐えきれなくなったとか?やっと終わるっていう安堵?」
私は少しパニックになって、敬語を忘れていた。
「ち、違います…。有紀様が私達の事をそんなに思っていることに感動して……」
感動……?何処に感動を?
「おい。女々しく泣いてんじゃねぇよ」
前から低い声がした。
「は、はい」
ぐすっと鼻をすする音がした。
「「「「「和海様もありがとうございました」」」」」
和海様。
不思議とこの人達が言うと違和感がない。
「それはこっちのセリフだ。早く涙を拭け」
和海はぶっきらぼうにそう言うと、外に出る扉を開けた。

