窮屈なこの世界が、きみと出会って大きく変わる。




ふと我に帰ると、もう教室内にはほとんど人がいなくて、ただ唯一、私と夏目くんだけが教室に残っていた。夏目くんは、私の隣で私をまっすぐに見つめていた。


「えっと、夏目くんだよね…?まだ帰らないのですか……」


なぜ、こんなに見られているんだろう。見た目が怖い彼の鋭い視線は、人1人殺せそうだな、なんて失礼なことを考えていると、夏目くんがおもむろに口を開いた。


「なんか、藤村さんって、気持ち悪いな」
「え」
「空!ごめん遅くなって…って、え、なんかお取り込み中?ごめん」
「伊緒。全然大丈夫だよ。じゃあまた明日な、藤村さん」


夏目くんはなんとも失礼な言葉と私を残して、友人らしき人と教室を出て行った。私は夏目くんから発された衝撃的な言葉に、数秒間、頭が真っ白になって動けなかった。