先生の一言で解散となった直後、帰るべく席を立った時、同級生が私の元へ駆け寄ってきた。
「優里〜さっきはごめんね、勝手に推薦しちゃって」
「びっくりしたけど大丈夫だよ」
「やっぱり優里は優しいなあ。ありがとね。それじゃ」
先に教室を出ていく友人を、笑顔で見送った。教室から友人が見えなくなったとき、ずるずると椅子に座り込んだ。
高校生活初日から、なんだか疲れた。でも、これでいいんだ。
こうやって不満を言わず、相手の言う通りに動いて、愛想よく笑っていれば、私は一生嫌われずに済んで。望み通り友達との平和な高校生活が待っているのだ。
これでいいんだと、自分の心の中で何度も言い聞かせた。

