周りから嫌われて1人になるくらいなら、自分を偽ってでも友達と一緒にいたい。
ひとりぼっちにならないためなら、自分を偽って偽物の笑顔作ることも、偽物の友情関係を築くことも、どうってことないのだ。
これがわたしが見つけた、自分が傷つかない人との付き合い方。
臆病なわたしはあの日から、人と向き合うことから逃げていた。
「それでも1人になりたくないんだよ…」
「そもそも誰とも真剣に向き合えてない時点で、藤村さんは1人じゃん」
「うるさい!」
夏目くんの言葉に、私は声を荒げてしまった。
「何も知らない夏目くんに、口出しなんてされたくないよ!」
「ふ、藤村さん、」
「私のことなんて夏目くんには関係ないじゃん!ほっといてよ!」
「…ごめん」
「か、帰る」
夕暮れでオレンジ色に染まる廊下の中を、私は夏目くんを置いて駆け出した。大きな声を出して、感情をあらわにしたせいか、熱い想いが溢れ出してなぜか涙が出そうだった。夏目くんはわたしの後を追ってはこなかった。

