窮屈なこの世界が、きみと出会って大きく変わる。



この2週間、隣の席で彼を見てきて思うのは、見た目こそヤンキーだけれど、中身はとても真面目な人だと言うことだ。

学校に1日も休まず来ているのはもちろん、遅刻・早退もなし。授業は寝ないで受けているし、宿題も忘れず行っているみたいだ。


「…2限の古典って何したっけ」
「平家物語の現代語訳です」
「そうだった、サンキュ」


日誌を細かく記入している姿は、その恐ろしげな容姿とは不釣り合いだ。

夏目くんは「てか、なんで敬語なの」と、言うと、いつもの怖い表情をゆるませて笑った。

初めて見た夏目くんの笑顔に、なんだか気が抜けてしまったわたしは、

「夏目くんって意外と真面目だよね…」

と、つい本音を漏らしてしまった。