窮屈なこの世界が、きみと出会って大きく変わる。




放課後まで夏目くんと過ごさなければならないなんて…。正直ものすごく気が乗らない。想像するだけで緊張してお腹痛くなる。ていうか既にお腹痛い。帰りたい。

なんて考えつつも、もちろん帰るタイミングなどなく、あれよあれよという間に放課後になってしまった。

こんな日に限って教室には誰もいなくて、夏目くんとわたしの周りにはなんとも重い空気が漂う。


「…………」
「…………」
「…………」
「……………あの、藤村さん。」
「……はい」


沈黙を破ったのは、夏目くんだ。今日も鋭い眼光を放つ彼は「ごめん、日直の仕事ほとんど押し付けちゃって」と言った。


「日誌、藤村さんが持ってるよね?」
「あ、はい」
「もしかして書いてくれた?」
「あ、それがですね、書こうと思って忘れてて…もう少し書き終わるのに時間かかりそうなんです申し訳ありません」
「よかった。藤村さんに丸投げするのは申し訳なかったんだよね。俺書くよ。ていうか、俺、ほとんどの仕事藤村さんに任せちゃって、負担かけすぎたよな。ほんと、ごめん」


夏目くんは、相変わらず鋭い目つきでそう言った。そんな彼を見て、この人は、自分に非があればちゃんと謝れるんだなあという事実に驚いた(失礼極まりない)。