ボ~ッと時計を見る。


もうすぐ0時。


・・・・あ、あと30秒だ。



・・・・10・9・8・・・・・。



そして「0」の瞬間、玄関のインターホンが鳴った。思わずビクッとした。0時ピッタリって・・・・。



玄関に行って、モニターを見た。


マオだ!!!


「は~い!!」元気にドアを開ける。


「お誕生日おめでとう!ケーキ、買ってきた」


「ありがとう」



真っ暗な部屋に灯るロウソクの光。マオがバースディソングを歌ってくれた。


私がロウソクを消すと、マオが部屋の電気をつけて、私を優しく抱きしめる。


そして、花束を取り出した。


「ピカ。よく見てみて」


その花束は、真っ赤な薔薇と白いパンジーを組み合わせて作った花束だった。


「わぁ~キレイ。」



「ピカがいつまでも、昨日言ってた『あなた』って曲の世界観を忘れないでいて欲しいなって思ってさ」


私の頭を優しくなでる。


「ちょっと歌ってくれる?」


「いいよ」


私は『あなた』を歌った。私が歌っている間、マオはずっと私の手を握っていた。


歌い終わった私をまた抱きしめた。