「じゃ、陽菜実頑張ってねー」


「うーん、じゃあね〜」



香夜は、仕事が終わるまで待つと言ってくれたけど先に帰ってもらった。


本当に優しいなー香夜は。



私も、早く終わらせて帰ろう。


でも、このプリントの山を一人で整理するのかぁー


見ただけで、ため息が出る。



ガラッー



扉が勢いよく開く。



「ご、ごめん、すっかり忘れてたわ」


そこには息を切らした月野君がいた。


「遅くなって、ごめんな。まだ始めてない?」

「あ、うん。今から」



よかった〜っと喜ぶ、月野君。

走って戻ってきてくれたのかな。




「ふふっ」


なんだか、ちょっとだけ嬉しかった。



「え、何?どうかした?」


月野君がキョトンとした顔で聞いてきた。




「な、何でも無いよ」


つい笑ってしまった



「てか、量多くねっ!?」


机の上に山の様に積んである紙を見て私と同じ反応をしていた。



「そうなの、終わるかなぁ」



「急いで、終わらせるか」




急いでなんか終わらせなくていい。


このまま、ずっとこのまま二人がいいな....



心の中でそう願った。