ドキドキが止まらなさすぎて、競技に集中できないや。


「あれ、陽菜実も13番目なの?」


横を見ると、さっきまでしゃべっていた穂乃果がいた。

「もしかして、穂乃果も?」

「うん!」



「穂乃果なの〜〜??」

「えー何?嬉しくないの〜?」

そう言い、頬をぷーっとふくらませる。


「穂乃果、速いんだもんー」

「そんな事無いよー今ちょっと疲れてるしね」



そんな事を言ってても速そうだよ。


「穂乃果が、よっぽどの高熱を出さない限り、無理だと思うなー」



「何言ってんの〜ほら私たちの番だ.……」


穂乃果が、立った瞬間フラッとよろけた。




ドサッ



え……穂乃果.……?


目の前には、苦しそうに倒れている穂乃果がいる。



「「「きゃあっっ」」」


周りの女子達が途端に悲鳴をあげる。



その声で今の状況にハッとする。



「穂乃………」


「上野っ!!!」



私の声をさえぎって、誰かが叫んだ。


後ろを振り返ると、月野君が全速力でこっちに向かってくる。


「上野、大丈夫か?!」


月野君はすぐに穂乃果のところへ駆け寄った。


「これは立てそうにないな.……」



そうボソッとつぶやくと、穂乃果を持ち上げ、走って行ってしまった。




私は、その光景をただただみつめる事しかできなかった。