もちろん、集落を守る選択をしたのは女性だけではないが、先頭に立って闘っていたのは紛れもなく彼女たちであったとか。

 だからこそ、男たちは集落を彼女たちに任せていられるのだろう。

 そうはいえど、老人ですら強いのはエルドシータの集落ならではなのかもしれぬ。

 シレアの育ての親は今は長老となっていれど、今でも剣を持ち戦えるほどの気概に満ちているとか。

「戦えぬ者は肩身が狭そうであるな」

「皆そうして思い違いをする」

「ぬ。違うのか」

「出来ることをしているだけだ。そうでなければ、この世の理を知る者とは言えない」

「うぬう。そうであった」

 個々にはそれぞれの道筋がある。

 戦えぬ者、戦わぬ者を責める事は条理に反する。彼らはそういう意識であった。