草原を進み、雨が降りそうだというシレアの言葉に、我らは雨をしのげる場所を探している。

「そういえば、吟遊詩人に歌われるエルドシータは、男だけとは限らぬな」

 彼らは女が剣を学ぶことに抵抗がない。

 彼らの集落では、性別に関係なく放浪者(アウトロー)になることが許されている。

 幼少の頃から闘う術を学び、成人となったあとの道は本人が自由に決める事が出来る。

 しかれど、多くの女性は集落に残ることを選択する。

 彼女たちは集落を守り抜くという選択をしたのだろう。

 我が子や親を護るための剣は、きっと誰よりも猛々しく鮮烈であろうな。

 シレアがまだ幼少の頃、肉食の獣が群れで襲ってきたことがあったそうな。