エルドシータは年に一度、大きくなった枝だけを幾本か切り落とすと聞いた事がある。木を絶やさないための良い方法だ。

 彼らは本当に自然と共に生きておる。

「言い伝えでは、過去に大きな過ちを犯したとある」

「ほほう」

 二千年ほど昔、辺境には大きな森があった。周囲には二つほど別の集落があり、常に小競り合いを起こしていた。

 それは森の所有権争いにまで発展し、気がつけば森は炎に包まれていた。

「それはどういう事か」

「三つの集落のうち、一つは弱かった」

 勝てないことを知っている彼らは、奪われるくらいならばと森に火を放った。

「精霊が棲むという森は全て焼き払われ、元には戻らなかった」

「人間の醜い業により、精霊が死んだのだろう」

 なんと嘆かわしい事か。