我は智の竜と呼ばれておる。

 長らく生きてはいるが、人間には興味が尽きぬ。

 これほどに感情豊かな種族はそうないであろう。

 我の真白い体と翼を見れば、恐れる者や崇める者、食わないでくれと懇願する者と様々だ。

 それは仕方なきこと。

 ドラゴンはこれまで、数々の悪行を成してきた。

 例え、我のように人に害を与えないドラゴンだとしても、彼らには等しくドラゴンなのだ。

 人間とドラゴンが闘ってきたように、古の種族たちもドラゴン族とはときに闘い、ときに利用してきた。

 しかれど、長き年月のなかで友となりし者もいた。

 その多くの死を我は見てきた。

 短命である人間を友とする我の選択が間違っているのやもしれぬが、彼らにはどうにも惹きつけられてしまう。


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