「咲蘭、行こうぜ」

視線を感じながら、拓真についていった。

「咲蘭〜、いーとこないかー?」

「いいところなら……中庭は?」

「いいね!行こうか!」

中庭は、あたしのお気に入りの場所。

春には桜が、秋には紅葉が見える。

そして、誰も近寄らないところ。

「綺麗だな」

「でしょ?」

唯一の楽しみの場所。

「……あいつな」

「え?」