キスは甘い蜜の味

「だったらもう、帰って来るな」

「……っ」

ーーカツカツ

静かにそう吐き捨てて、先生は歩いて言った。

拓真を見ると、瞳に涙を溜めていた。

「ふっ……はははっ……とうとう、居場所を失ったよ……」

顔を伏せてそう言った。

「情ねぇ……立つことも出来ないなんてな……立ててたら一発、殴ったのに……」

「……っ」

そんなことないよ……

カッコいいよ……

自分のことはあとにして、あたしのことを……

とってもカッコいい……