「じゃあ、また」

看護師さんが歩き出した。

「対人恐怖症ってさ、克服出来るそうだよ」

え、嘘……

「頑張れば、喋れるようになるんだって」

知らなかった……

「もしかして、親父から聞いてないのか?」

頷くあたし。

一言も言われなかった。

「マジかよ……んだよあいつ……」

あいつ?

「ここにいたのか」

後ろを見ると、結城先生が立っていた。

「おい親父!咲蘭に対人恐怖症は克服出来るって教えなかったのかよ!」