キスは甘い蜜の味

「入院ですか?」

「ああ。風邪をこじらせたらしくて」

「へぇ〜」

奏兄さんはイケメンだから、妹さんも美人なんだろうな。

「じゃあ、これから毎日仕事なんだよ……だから、来れない。たまには連絡しろよ?」

「はい」

「じゃあな!」

病室から出ていった。

これで、奏兄さんとは会えない。

あの日以来、親父は来ない。

もちろん、来てほしくない。

親父は、俺が“邪魔”なんだ。

医者になれない今、俺を必要とはしない。

気が楽だ。