「咲蘭ちゃん、起きたか」

頷く。

「じゃ、また来るよ」

〈はい〉

「咲蘭ちゃんはいい子だなぁ。偉いよ。誰かとは違ってな」

「……」

「……っ!」

先生が見る先は、拓真だった。

その目は、厳しく、冷たい感じだった。

「猫を助けるために自分が事故に遭って歩けなくなるとはな。猫のために自分を犠牲にして」

そう言って、部屋から出て行った。

「猫が死んじゃうじゃないか……」

拓真……