理事長室を出ると、前方に一人の男子生徒がいることに気がづいた。校章の色が違うのとずいぶん大人っぽい容姿から見るに恐らく三年生だろう。誰かを待っているのだろうか、腕を組みつつ壁に寄りかかって動こうとしない。
私を待っているんじゃないよね……。
なんだか嫌な予感がして足を早め、その人の前を通り過ぎようとした。
が、
「お前があの藤原誠一の養子とはな。」
ハッとしてその人を見れば、ゾットするほどの妖艶な笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「どうやら訳ありのようだが……」
その人はそう言いながら私との距離を詰めてきた。後ずさろうとするも、後ろはもう壁で、私は逃げ場を失った。
「盗み聞きをするなんて最低ですっ」
逃げるすきを作ろうと苦し紛れに言った言葉は、だから何だ とすぐに切りすてられてしまった。
そして、突然グッとネクタイを掴み上げられ息が詰まる。
「お前と藤原誠一の目的はなんだ。」
その人は顔を近づけドスのきいた声でそう言った。
苦しくて声が出ず、ネクタイにかけられた手をほどこうとしたが、男の人の力には敵わない。
……苦し…い…誰か助けて…

