移ろいゆくもの、変わらないもの

                         


着いたアパートは、中学校から徒歩10分くらいの場所に、寂しげに建っていた。

101号室に高齢の女性、102号室に若い夫婦が住んでいるみたいで、私の部屋は103号室だ。



不動産屋さんからもらった鍵をハンドバッグから取り出し、鍵穴に差し込む。




──そのときだった。






さあ、と風が吹き抜け、背後に人の気配を感じたのは。



不思議と怖いとは思わずに、振り向く。







そこには、いつの間にいたのだろうか、1人の青年が立っていた。






染められることなく、自然な色の彼の髪が、春の優しい風に吹かれ、ふわりと揺れる。


対照的に、明るい茶色に染まり、パーマのかけられた私の髪も、ふわりと風に流された。




私が、鍵を鍵穴に突っ込んだまま固まったのは、さっきまで誰もいなかったのに、とか思ったからじゃない。







──彼の顔に、見覚えがあったのだ。













「……流風?」