ぼんやりと7年前の青春時代に思いを馳せていると、ガタン、と電車が大きく揺れて、止まる。 ゆっくりとドアが開いた。 機械混じりのアナウンスが、駅名を告げる。 私はハンドバッグを片手に、立ち上がった。 引っ越しの荷物は、今日新しい家に届くことになっているはず。 電車を降りると、懐かしい香りが鼻をかすめた。 「──ただいま」