移ろいゆくもの、変わらないもの

                         







その日の放課後。


茜色に染まった空の下、雑草が生い茂った道に、3つの影が並んでいた。

私は、手に持ったバニラのアイスカップの蓋を開けながら、ぼんやりと空を見上げる。

隣でチョコレートのアイスバーを舐めていたくるみんが、どうしたの?と首を傾げた。


「ほのちゃんがたそがれてるとか珍しいね。何かあったの?」


数学のプリントが結局間に合わず(よっくんは頭が良くても教えるのがへたくそ)、それなのに数学の時間やってないところが当たってピンチだったくるみんを助けた私は、お礼にアイスをおごってもらえることになったの。

教えてくれたよっくんにも一応お礼、ということで私とくるみんとよっくんの3人で帰っている。


今は、最近アイスを売ってくれるようになった駄菓子屋さんの前でアイスを食べているところ。



「何かあった……………のかなぁ。よくわかんないや」


「へ?なにそれ。あ、ね、桜華のそれ美味しそう。ちょうだい」


私の答えにきょとんと目を瞬かせたのも一瞬、よっくんが私の持っていたプラスチックのスプーンを奪っていった。
聞く気ゼロだな。

スプーンの上に乗っていたアイスが、よっくんの口の中へと消える。


「ちょっとー!それ私のアイスなんですけど!?」


よっくんに向かって抗議すると、抹茶のアイスバーを差し出された。


「これあげるから許して?」


にこ、と笑うよっくんに、毒気を抜かれる。

私はしょうがないなぁ、と呟き、そのアイスを一口かじった。

ふわ、と落ち着いた甘さと、アイス特有の冷たさが口の中に広がる。

間接キス、とか気にならないのは、やっぱりずっと一緒にいた幼なじみだからかな。……それとも、よっくんの中性的な見た目のせい?

よっくんは男の子なのに、線が細くて華奢。おまけに運動オンチ。
目は大きいし色白だし、その辺の女の子より可愛いんじゃ…。


くるみんが、私抹茶苦手、と呟いた。