移ろいゆくもの、変わらないもの

                         



くるみんのプリントを見た遼ちゃんが、やべ、と呟いた。

流風が無言で数学のプリントを遼ちゃんに渡す。


「さすが流風!わかってる!じゃあありがたく、」


「ジュース2本な」


プリント1枚につきジュース2本。高い。


「まじかよ!?今オレ金欠…」


「授業始まるまでに返せよ」


「流風さん厳しい…!」


……さすが幼なじみ、とでもいうような、息の合ったコント……じゃなくて会話。

遼ちゃんは流風に向かって手を合わせ、それから自分の席に戻って行った。

くるみんは、通りすがった翼(ヨク)──よっくんを捕まえて教えてもらってるから、大丈夫そう。


よっくんは総合順位がクラストップ。ちなみに英語と国語以外は彼が全部トップ。尊敬。

頭は良いんだけど、どこか抜けてるというかアホというか。
親しみやすい…?のかな、うん。

頭良いのにおバカ発言をするから、頭良いアホってかんじかな!





私がリュックから教科書を出していると、流風に英語の教科書を取り上げられた。

彼の細い指がページをめくり、あるページで止まる。