移ろいゆくもの、変わらないもの

                         


懐かしい中学校の卒業アルバムに気付いた流風が、途中まで中身を出した段ボールそっちのけで寄ってきた。


1学年1クラスという少ない人数。
都会のように、毎年のクラス替えなんかなくて、新しい学年になっても新鮮な気持ちが湧かなかったのを、覚えている。

人数が少ない分ページ数も少なく、薄すぎる卒業アルバム。


表紙をめくると、中学校の懐かしい校舎の写真と、校歌の歌詞が載っていた。

校歌の歌詞を見ても、もうほとんどリズムは思い出せない。
でもなぜか、ひどく懐かしいと感じる。


隣から覗き込むような形でアルバムを見ていた流風が、私よりもいくらか大きな手で、ページをめくった。


「うわ、やだ何この顔!」


個人写真が載っているページ。

今より短く、黒くて重たい髪の自分が、満面の作った笑顔を浮かべている。
たぶん頑張って笑ったんだろうけど、それにしてもちょっとひどすぎない?
絶対もっと上手く笑えたでしょ、と思えてくるひきつった笑顔だ。


その一方流風は、これまた今より短い髪で、はにかんだ笑顔を浮かべている。なんか可愛い。


「…てゆーか流風、寝癖ついてない?」


「ほんとだ」


写真の中の流風の髪に、ぴょこ、と違う動きをしているものがあって、私は思わず笑った。

しかも一ヶ所だけじゃなくて、至るところが。

流風の髪は柔らかく繊細だったからか、いつも色々なところがはねていた覚えがある。

今は少し伸びたからか、全体的にぺたんとしているけど。



そんな風に昔を思い出しながら、当時のクラスメイトの顔を見ていく。