カタン、カタン…。
一定のリズムで揺れる電車の中、私はバイブしたスマホをハンドバッグから取り出した。
昼間の空いている時間帯。
年配の客が多い中、まだ大学を出たばかりの私は電車内で確実に浮いているだろう。
スマホを起動させると、東京にいた頃の友達数人から、”頑張って”や”大変だね”とかいうメッセージが来ていた。
みんな他人事だなぁ、と苦笑が漏れる。
私──天海桜華は、つい一週間前、大学を卒業した。
都会に憧れて東京の教育大学に進学して、教員免許を取った私は、この春から自分が通っていた中学校の教師として働くことになったのだ。