颯太は私を家まで送ってくれようとしたけれど、その申し出を断って途中で分かれた。
颯太の家は私の家とは正反対の場所にあるし、何より偽りの関係なのにそこまでしてもらうのも申し訳ないと思ったから。
帰ってからコンビニでも行こうかな、颯太と別れてからそんなことを考えて歩いてると、自宅の前で艶やかな黒髪が揺れた。
「えっ!咲くん……」
「………」
なんで私より、早く家に着いているんだ……ってそんなことを考えている場合ではない。
自宅とその前で佇んでいる咲くんを交互に見やる。
そして、一つの結論にたどり着いた。
もしかして、私を待っていたの……?
驚いて固まる私に構わず咲くんはズンズンと近づいてきた。
「ちょっと聞きたいことあるんだけど」
「えっちょっ待って、何……?」
「ああもう相変わらずノロマなんだね。いいから来て」
理解が追いついていない私にいら立ったのか私の手をぐいっと引っ張って歩き出した。
咲くんの手、白くて綺麗なのになんだか熱い……。
それきり言葉を発しなくなった咲くんにつられて私も黙り込んで歩いた。
夜のとばりはもうそこまで降りてきていた。
