不思議に思って私も立ち止まる。
「どうしたの?」
颯太に少し近づいたら手をぎゅっと掴まれた。
「えっ」
驚いて颯太を見るといつもより真剣な表情の瞳とぶつかった。
颯太のこんな顔を見たのはいつぶりだろう、否、初めてかもしれない。
「このほうが、恋人っぽく見えるだろ」
「そっそうかもだけど……」
こういうのはなんだか気恥ずかしい。
「咲が追いつくかもしれねえよ、まだ部室に残っていたし」
咲、そのワードに手の力が自然とグッと込められた。
私たちを見たら咲くんはどう思うんだろう。
慣れないと思っていた颯太の手の温かさはいつの間にか自然と馴染み、なんだか安心感を覚えていた。
