市倉奈子、高校2年生
私には、とてもかっこいい幼馴染がいる。
お隣に住んでいるのだし出来れば仲良くしたいけど……
「……あっ」
登校のため、制服に身を包み、履きなれたローファーを履いて玄関に備え付けてある鏡を見て最後の仕上げをし、
いってきまーすと元気よく声を上げてドアを開ければ、その人の姿が見えた。
「………」
視線だけをこちらに寄越した彼は、ちょうど私の家の前を通りかかるところだったらしい。
うう、相変わらず私を見る目が冷たい。
「あっ……さ、咲くん、おはよう」
とりあえず、基本ということで挨拶をしてみる。
明らかに作った笑顔が引きつってるのだろう。
咲くんは、ため息をつき、私から視線を外すと
「学校、遅刻するよ」
とだけ言い、そのままスタスタと歩いていってしまった。